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2021.12 第六感

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miniAL'第六感'発売記念インスタライヴ

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采访

The F1RST TIMES

確固たるReolを築けた自信から挑戦できた、聴き手をより強く意識した『第六感』

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斬新かつダンサブルなサウンド、メッセージ性を感じられるクリエイティブな言葉の数々。

つねに、音楽シーンへ刺激を与えながら自らをアップデートし続けてきたシンガーソングライター のReolがミニアルバム『第六感』をリリース。

リード曲は、先行リリースされスマッシュヒットした「第六感」。パンデミックな不安定な時代だからこそ大事にしたい攻めの姿勢、前に進んでいく気持ちの強さ。

そんな能動的なテーマを感じ同曲に加え、イギリスのマンチェスターを拠点に活動するサウンドクリエイターGeek Boyを迎えて取り組んだ「ミュータント」「Nd60」「Boy」など、ネクストステージを予感させる7曲が揃っている。

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■Reolの基盤を作れた今、次は広げていくためのトライ

──Reolさんの2020年はLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)での無観客ライブ『Reol Japan Tour 2020 ハーメルンの大号令 -接続編-』があって、ライブはもちろんスーパーチャットの仕組みとともに盛り上がりました。

Reol:ありがとうございます。それこそ、スタッフがリスナーと一緒になってスーパーチャットで思いをコメントしてくれるという。あの盛り上がりは胸熱でした。コロナ禍でなければあの一体感は体験できなかったと思います。

──そして、リベンジとなったLINE CUBE SHIBUYAでの有観客ライブ『Reol Installation Concert 2021「音沙汰」』という貴重な経験を経て、本作『第六感』をリリースするのは、心機一転、心情として大きな変化があったのではないですか?

Reol:アルバム『金字塔』が出来た後から、次の作品はもっとマスの世界へ向かって行きたいと思っていたんです。ソロアーティストとしてフルアルバムを2枚作ってみて、Reolの基盤は作れたところがあったので、ここから先は聴き手を意識して、より広げていくためのトライをしたいと思って。

これまでもリードトラックはそうだったんですけどね。アルバム曲は本当自分がやりたい曲のプレゼンテーションだったので(笑)。ミニアルバム収録曲、7曲すべてにそんな思いを込めて作っています。

■デジタリーなトラックに“THE 日本人”な私のマインドを乗せる

──“ネット発カルチャー”という言葉があり、Reolさんはその代表格でもあって。そして、“ネット発”のあり方が、今やそれがどんな表現者であっても普通の時代となりましたよね。

Reol:それこそ、“ネット発カルチャー”から音楽を聴き始めた新世代が世に現れ始めましたから。私も、様々なクリエイターと関わっていくなかで「以前から聴いてました!」とか、そのうえで一緒にお仕事する機会が増えて。不思議な感覚ですね。

──ちょっと話がそれますが、今、面白いと思っているのがボカロ文化圏を横断するソーシャルゲーム『プロジェクトセカイ』で、新旧ボカロ文化圏のサウンドが初期ファンはもちろん、今のティーンエイジャーにも伝わっていて。

さらにヒップホップシーンの『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』では、Reolさんはスペシャルにオリジナル作品を発表されていますよね。

大人が気づかない間に音楽シーンでは新しいマーケットが生まれているなって。あれって今ITシーンで、バズワードとなっている“メタバース”の先取りでもあると思うんですよ。

Reol:そういったグラデーションが出来たし。私たちがいたニコ動全盛期を知らない今の思春期世代が、ネットやボカロ文化を介して音楽を楽しんでいるという不思議な時代になったなと思っています。

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──この10年の間に、ほんと音楽シーンは細分化しつつシーンが多様化しながら広がっていて、コロナ禍であっても、音楽を楽しむ機会は広がっていると思うんですよ。

Reolさんは、ロックフェスシーンはもちろん、様々なフィールドで闘っていて。最新ミニアルバム『第六感』は、よりヒューマンな方向に進んでいるんじゃないかなと思ったんです。

Reol:血の匂いが強い音楽が好きだし、そういうのを聴き育っていることもあって。サウンドメイクやビート感はデジタリーであるがゆえに、そんなトラックの上に“THE 日本人”な私のマインドを乗せることがいちばんの売りだと思っているんです。

そこを色濃く出しつつ、でもちゃんとポップに。ポップというのは、みんながわかる感情を書きたいんです。それは共感を得にいくだけじゃなくて。自分が感じて経験したこと、そんな思いが重なることを書きたいっていう。

──リスナーが「あ、自分が聴きたかったこと考えていたことってこれなんだ!」ってハッとする。そういう体験を提供できる音楽ということですよね。

Reol:と、言いながらも歌詞はリズムに合ってさえすればどうでもいい節もあるんですよ。あ、なんでもいいワケではなくて、刺さる音楽であることが大事なので。音としての美しさが大前提ですね。そんな言葉が持つリズムを突き詰めていきたいと思っています。

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■レコーディングさえしなければ、前へ進めるんですよ

──それ、いちばん訊いてみたかったところで、言葉が持つリズムがアップデートされているかされていないかで、今の時代感を奏でているかどうかって、明確に分かれますよね。Reolさんは確実にアップデートされているんですよ。

Reol:それはありがたいです。そこを特に突き詰めた新曲が「Boy」のAメロとBメロで。リズム先行で組んで、いかに言葉をはめるかにこだわって。職人のように作りましたね。

──その環境は、自宅スタジオにこもって?

Reol:そうです。歌録りも家でやったんですけど、そろそろ(外部)スタジオで録ってもいいかなと思っていて。それは環境が、とかではなくて、自宅だといつまでも録らない(苦笑)。

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──ははは(笑)。

Reol:なんか、ブラームスとかも交響曲書くのに21年かけたじゃないですか? 人って完成形まで持っていくのって、なかなか億劫だと思うんです。私も、いつまでも完成しない、いつまでも同じ油絵を描くことになってしまいそうで。

レコーディングさえしなければ、前へ進めるんですよ。あはは(苦笑)。でもそれって、その先の行程のスケジュールが厳しくなってくるんで、そろそろまわりの監視下で録らないといけないなって思いました。

──スタジオで録ることで、そこでまた広がる新しい経験となるかもしれないもんね。

Reol:宅録が良いのはわかったうえで、自宅で録るのと同じような感覚で今だったら録れるような気がするんですよ。もう最後にスタジオ入ったのが6年前で(苦笑)。あの頃は“人前で歌うの?”って感じだったんです。ライブの経験もそんなになかったので。

──Reolさんはボーカリゼーション、節回しのこだわりが個性となっているから、あまり人が多くないほうが集中できそうだもんね。

Reol:スタジオのブースに入るときも無人でやりたいんですよ。セッティングのみしていただいて。今回、ミックスをお願いした小森(雅仁)さんに「それもできるよ」って提案されて。「あ、それができるならやりたいです」みたいな。

■ちゃんとReolらしさのある曲がターニングポイントとなるありがたさ

──なるほどね。それも、ある種チームワークってことですよ。では、曲について。「第六感」は、テレビCM「(BOAT RACE 2020)イメージソング」で世に流れまくったナンバーとなり、ひとり歩き感で広がっていますよね。

Reol:新しい人と会うときに“「第六感」の!”みたいにはなりますね。自分にとってのターニングポイントとなる曲って何曲かあって。数年前だったら「サイサキ」がそうで。でも、ずっと聴いてくださっている方からすると「第六感」もちゃんと自分っぽい曲だと思うんです。

──「第六感」は、アッパーなトラックでありながら和テイストを織り交ぜるなどReolらしさ満載のナンバーとなりました。サビで加速する、すっと入ってくる思いの強さがグッときます。

Reol:ボートレースのタイアップ曲だったので楽曲の打ち合わせをした際に、駆け抜けていく感じや湿度のあるイメージがあって。だけど、ウェットな感じというよりは水しぶきを連想するサウンドで。

わりと早いBPMや四つ打ち感、そしてボートが6レーンあることだったり、ギャンブルってまさに感覚だよねって。そこはタイアップでなければ生まれなかった発想もあったと思います。サビからできて最初からこんなノリの曲でした。

──2曲目「Q?」は、『デジモンアドベンチャー』エンディング主題歌。Reolさんはデジモン世代でしたっけ?

Reol:ドンピシャではないんですけど、弟がいるので一緒に観ていて。無印のデジモンから知ってました。

──軽快なビートにラップが折り重なっていく切なき感情がはち切れんばかりの表現をされていました。

Reol:好きなように作ってほしいというオーダーだったので、ドラムンベースをやりたかったんです。まずビートから決まって曲は作れたんですけど、歌詞が書けなくて。

ちょうど2020年の5月ごろだったのかな? 緊急事態宣言などでちょっと世の中が暗かったんですよ。あと、日本でもBlack Lives Matter(※アフリカ系アメリカ人のコミュニティに端を発した、黒人に対する暴力や構造的な人種差別の撤廃を訴える、国際的な積極行動主義の運動)のデモ活動が盛んになった時期で。

SNSを見ると気持ちが落ちちゃって…でも、SNSを見ないとみんなとの接点がなくなっちゃう時期というか。

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──ああ、その感覚、たしかによくわかります。

Reol:外出もできないし、ツイッターデモが起こったり。SNS視聴率みたいなものが高かった時期ですよね。みんな人との接点をデジタルに求めてたなと。

そんななか、どうしても差別意識というか。自分以外の思想を除外する考え方が強まってるなというのを考えていましたね。重いテーマを描いたなと思いつつ、でも、ちゃんとアニメ尺で出す90秒はポップさを意識しました。2番以降は重いけど。

■恋愛を知ると、人として違う人間になる

──3曲目「Ms.CONTROL」はアニメ『MUTEKING THE Dancing HERO』挿入歌。不可思議な世界が醸し出す、Reolさんならではのパワーあるオーラのようなものを感じられるナンバーですね。

Reol:電脳世界の歌姫オーロラというキャラクターがこの楽曲をリップシンクして踊るという設定が先にあったので、それって私とGigaがやってきた初音ミクだなって。なので書きやすかったですね。

──そして、4曲目はKOTONOHOUSEをアレンジャーに迎えたダウナーなポップチューン「白夜」。KOTONOHOUSEをアレンジャーに迎えたのは理由があったのですか? 

Reol:前作アルバム『金字塔』までって、私もそうなんですけどサウンドクリエイターのGigaも駆け抜けてくれていて。正直、尋常じゃないカロリーで作っていたんです。

そんな流れもあって一緒に作ってみたいなと思っていたケンモチヒデフミ(水曜日のカンパネラ)さんやMasayoshi Iimoriくんを呼んだりしていたんですけど、今後組んでみたいトラックメーカーとしてKOTONOHOUSEくんをチェックしてたんです。

大事なのは、いろんな人を呼びたいというよりは、自分の音楽とシンパするに近しい人を呼びたいと思って、完成形の想像が出来ました。

──なるほど。新録「ミュータント」は“変異”という、今の時代のキーワードでもあると思います。変わらないと生きていけないというのは昔からの定めであり。本作でReolさんが表現したいと思った“ミュータント”とは?

Reol:コロナ禍という状況になり、いろいろと考えあぐねて作った曲が「Q?」や「白夜」だったので、違う考えで作りたいなと思って。そんな時、ふと人が変異するのって恋愛なのでは? と思って。

恋愛を知ると、人として違う人間になるんですよね。ミクロな世界を見るというか。そこだけにピントが合っていく感じというか。それが、ある種の変異だなと思って作りました。

■国境を超えた、Geek Boyとのクリエイティブ

──サウンドクリエイターに迎えたGeek Boyは、どんな方なのですか?

Reol:私、2014年ぐらいからK-POPをチェックするようになってf(x)という女性グループをめちゃくちゃ聴いていたんです。そのクレジットを見返していたら、Geekが作っていたトラックがあって。最近のプロデュースを調べたらSF9の「Now or Ever」という曲のサウンドプロデュースもしていて。音が面白いなと思って、お声がけしたら受けてくださって。

──それって、ストリーミング時代に相応しい国を超えたクリエイティブですごく面白いですよね。接点が広がるなあ。

Reol:まさか、2014年の頃から考えるとEXOの曲を手がけているトラックメーカーが自分の曲を作ってくれるという発想が浮かばなかったけど、今まで自分たちが作ってきた曲を聴いたうえでやってくれたのでうれしいですね。

──それは自信を持てるよね。

Reol:ありがたいことです。しかもGeekの音作りが丁寧すぎてびっくりしました。デモがレベルを超えていて、完成されているんですよ。

──さらに、新録「Nd60」は軽快なビートで展開していくポップソング。タイトルはどんなところから?

Reol:ネオジム磁石という世界最強のなんでもくっついちゃ磁石があるんですけど、その存在を知って、なんか覚えていたんですよ。このトラックが軽快でK-POPっぽさがあったので、そんなアプローチなのに敢えて暗いテーマを歌いたいと思って。

人がくっ付いちゃう、惹かれてしまうものってなんだろうと思った時に、私はタナトス(※死を擬人化した神)だと思ったんですよ。

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──ああ、なるほどねえ。

Reol:あきらめとか、そういうことについて歌っていて。でも、めちゃラフにあまり考えさせずにネガティブなことを歌うという。

──楽曲のテーマが、創作のトリガーになるのですね。

Reol:トリガーとなるきっかけって実は普通に生きていて出会うことだったりするんです。Wikipediaとかネットサーフィンが大好きだから、そんなうちに見つけていくというか。この文字列なんだろうとか。わからないことがあるとすぐに検索するんですよ。インターネット脳だから(笑)。

──面白いなあ。曲は、Geek Boyとのコライトになってますがどんなやり取りをされたのですか?

Reol:「Nd60」に関しては、最初に私がサビメロを作って。「こんな感じどう?」とかやっていたんですけど。最初はもっと言葉が詰まっていたんですけど、余白が欲しいなと思って、Geekに「サビを一緒にコライトしない?」って言って、この骨組みが生まれて。英語でメロが乗ってきたものを日本語に変えてこれに落ち着いた感じですね。──楽曲のテーマが、創作のトリガーになるのですね。

Reol:トリガーとなるきっかけって実は普通に生きていて出会うことだったりするんです。Wikipediaとかネットサーフィンが大好きだから、そんなうちに見つけていくというか。この文字列なんだろうとか。わからないことがあるとすぐに検索するんですよ。インターネット脳だから(笑)。

──面白いなあ。曲は、Geek Boyとのコライトになってますがどんなやり取りをされたのですか?

Reol:「Nd60」に関しては、最初に私がサビメロを作って。「こんな感じどう?」とかやっていたんですけど。最初はもっと言葉が詰まっていたんですけど、余白が欲しいなと思って、Geekに「サビを一緒にコライトしない?」って言って、この骨組みが生まれて。英語でメロが乗ってきたものを日本語に変えてこれに落ち着いた感じですね。

■自分でも制御できない感覚を表現したアートワーク

──「Boy」は、新しいテイストを感じられるサウンドテイスト。ポジティビティ触れる言葉が力強いナンバーに仕上がりました。

Reol:Geekとは3曲とも全然違ったアプローチで。「Boy」は、トロピカルっぽいんだけどダンサブルで四つ打ちな感じだったので、いちばんリードっぽくなるかなと思ってアルバムのラストになりました。

トラックの持つ、前へ前へ感がすごくて。シンガロングを入れたくなったりしたから。送られてきたものからは構成は、Dメロを加えたり結構やり取りをしましたね。

──この曲、メロディのセンスとか好きなんですよ。

Reol:トロピカルっていうと、まさにMajor Lazer & DJ Snakeの「Lean On (feat. MØ)」とかだと思うんだけど。

──うんうん。

Reol:あれを日本的なポップなメロディにトライしたらどうなるんだろうって。なので、日本のポップスを聴いて研究して、このメロディをアウトプットしました。

──こうやって7曲を聴いていると次に繋がっていく作品、それがミニアルバム『第六感』の本質だと思いました。

Reol:そんな感覚があって。歌詞の終わり方も「Boy」は、他の楽曲より続きを気にさせるようなものになっていますね。

──あと、氷をテーマにしたアートワークも素晴らしくって。

Reol:ありがとうございます。毎回ジャケ写を撮ってもらっている磯部さんに撮り下ろしていただいて。『事実上』と『金字塔』で赤、黄色と来ていたので青にしようと。

あとは『第六感』というテーマだったから、アートディレクターと話した時に、本来凍るはずでない食虫植物が凍ったり、ブックレットでは私の髪の毛が凍っていたり。自分でも制御できない感覚を“第六感”になぞらえて視覚的に表現しています。

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■あの頃を共に駆け抜けた同志として、積もり積もった話をできる今

──コロナ禍でReolさんが自分は成長できたな、自分と向き合う時間が増えた結果、新しい発見があったことなどありましたか?

Reol:こうやって他者と関わることに何らかの制限がつくと天邪鬼だから、逆に他者と関わりたくなるんですよ(苦笑)。今まで他者と関わらないようにしてきたクセに、こんな状況になってから人と関わりたくなるという(笑)。

なので、アーティストの人と話す機会が増えたかもしれません。Ayaseくんとか須田景凪くんとか、ちょっと前に知り合ってクリエイティブについて話をしましたね。

やっぱり、インターネットシーンを飛び出したばかりの頃は、自分がいちばんカッコ良いと思っているし、意外と関わり合いはなかったけど、数年経つと自分以外のことにも目を向けられるようになって「あいつ、頑張ってんな」ってお互い自然と話始めるみたいな(笑)。積もり積もった5年間ぐらいの話をしたり。

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──良い意味で大人になったんだね。

Reol:ニコニコ動画の頃の話をしたりして。「わかるわかる! 観てた!」みたいな(笑)。同世代っぽい会話や、それこそフェスやテレビで楽屋が隣だったのをきっかけにLiSAさんや、UNISON SQUARE GARDENの田淵(智也)さんともお話ししました。

──なんか広がりを感じますね。それこそ続けていくことの大事さというか。

Reol:数年前では考えられなかったことが起きていると思いますね。人見知りなわけではないんですけど、以前は自分に自信がなかったんだと思います。確固たるReolが出来ていない時期は、優しく接してくれても「その優しさには裏があるんじゃないか?」と疑ってしまったり(苦笑)。

──ねじれてるなあ(笑)。でもわかりますね。表現者たるアイデンティティーの在り方ですね。

Reol:ようやくそれが自信を持って話せるようになってきました。

──成長だねえ。

Reol:そうですね。この作品を作ったことで、次の作品を作りたくなってきたんですよ。『金字塔』の時は、アルバムを作ってツアーをやってそのカタルシスを解消するはずのツアーがなくなっちゃったので、戸惑ってしまったのですが、今はとてもポジティブな気持ちになっているので。2022年こそは、コンスタントに攻めていきたいと思っています。

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リリース情報

2021.12.15 ON SALE MINI ALBUM『第六感』

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音楽ナタリー

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【特集】Reolが人と交わる“交差点”を探し求めた「第六感」

前作「金字塔」からおよそ2年。Reolがミニアルバム「第六感」をリリースした。

「BOAT RACE 2020」のCMソングとして広く浸透したタイトルトラックを含む全7曲入りの今作。収録曲の多くは、コロナ禍に見舞われた2020年から2021年にかけて制作されている。

このインタビューでは昨夏の無観客配信ライブ「Reol Japan Tour 2020 ハーメルンの大号令 -接続編-」や、ひさびさの有観客開催となった「Reol Installation Concert 2021 音沙汰」といったライブ活動を振り返りながら、彼女にとっての“交差点”を目指したという「第六感」完成までの歩みを聞いた。

音楽があったから死ななかった人は絶対いる

──「第六感」は、前作「金字塔」から約2年ぶりの新作CDとなります。これまでかなりリリースペースが早かったReolさんにとって、ここまで期間が空いたのは珍しいんじゃないですか?

そうなんですよね。ただ「金字塔」を作っているときにはもう、次の作品の制作時間を少し長く取ろうと考えていたんです。それまでハイスピードでやってきたのは自分の意思ではあるんですけど、1回じっくり作ってみたかったし、「金字塔」を出したあとにコロナ禍に入ったというのも大きくて。全国を4本回ったところで頓挫してしまったツアーを、配信ライブの1回きりで昇華させなきゃいけないというのが、自分の中でどうしても満足できなくて。配信は配信でよかったんですけど、思い描いていたことと違いすぎたところはありました。思うようにライブができない状況も含めて、制作に2年の月日をかけた感じですね。

──コロナ禍の中の制限された活動を振り返って、Reolさんはどう感じていますか?

私はインターネットミュージックから出てきているので、最初の頃は知名度に対してライブの場数が足りてないという、実力不足を感じていたんです。それが2019年頃から「ROCK IN JAPAN」などのフェスに出させてもらえるようになって、自分のパフォーマンスの正解みたいなものをようやくつかめてきたところでコロナ禍になってしまって。でも、インターネットシーンでやっていたときは音源だけ作っていたから、あの頃に戻った感覚というか。あのときどういう感覚で作りたいと思ったんだっけ?とか、初心と向き合う時間になりました。だから大きなストレスはあまり感じなかったですね。

Reol

──配信ライブは実際にやってみてどうでした?

たぶん、やれた時期もすごくよくて。私は中止になった3、4月のライブの振替公演を7月か8月くらいにやろうと計画していたので、それだけ時間があると配信のための演出に切り替えることができたんです。なおかつ「音楽や娯楽なんて不謹慎」「ライブやってる場合か?」みたいな批判を音楽業界が食らった時期を少し抜けて、みんながエンタメというものの尊さを見直し始めた頃で。音楽は衣食住のように生活必需品ではないかもしれないけれども、音楽があったから死ななかった人は絶対いると思うんですよ。

──間違いないです。

そういうことをみんなが思い出した時期に配信ライブをすることができたので、すごくいい経験になりました。

──配信でやるからこその課題はどのアーティストも直面したことだと思いますが、Reolさんはそういう工夫が得意そうなイメージがあります。

そうですね(笑)。私はゲームの縛りプレイと同じで、縛りがあったほうがいろんなアイデアが出やすいというか。特にこだわったのはリアルタイム感でした。生だということをお客さんに伝える手段として、生のコメントが必要不可欠だった。だとすると、コメントが表示される配信媒体を利用したい、YouTube LIVEがいいんじゃないかというところから、いろいろと作っていきました。もともとツアーで見せようと思っていた演出映像はちゃんと使いつつ、お客さんがいないからそこにステージを作って客席に降りたりとか、そういう普段できないこともできましたね(参照:Reol、インターネットと音楽で2万5000人と“接続”した「ハーメルンの大号令」)。

──今年に入ってからは1年半ぶりに有観客ライブも開催されました(参照:Reol、1年半ぶりに観客と共に“素敵な夜”を作り上げる)。ステージでの感じ方は以前と変わりましたか?

制約が設けられたライブではありましたけど、それもまさに縛りプレイで、今までやりたかったけど機を見計らっていたストリングスカルテットを入れることにしたんです。今回は音に特化したライブにしようということで、ライブとは謳わずに「インスタレーションコンサート」とタイトルを付けて、カルテットを入れた8人編成の生バンドを組みました。新しい形としてやったことで、今後も二刀流でやってほしいという声もいただきましたね。私のお客さんは男女比が半々で、スタンディングのライブだと女の子は見えなくなっちゃったりもするので。

──大きい男子が飛び跳ねた日にはもう。

私自身が小さいこともあって、花道だと観客に埋もれてしまって「どこにいるんだろう?」みたいな(笑)。そういうふうに見えづらい思いをしてきた方からすると、今回みたいなホールのライブはすごくよかったみたいです。

Reol

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一歩踏み出すのってすごく勇気がいる

──そんなコロナ禍の中のライブと並行して、今作の制作も進めてきたわけですよね。

そうです。「第六感」と「Ms.CONTROL」は同時期くらいに着手していて、完成は「第六感」のほうが早かったです。タイアップのCMのお話が2019年の終わり頃にはもう来ていて、2020年の夏から流れるということだったので、そこに合わせて先に出ました。「白夜」と後半の4曲にタッチしていた時期は同じくらいで、2021年の2、3月くらいから作り始めて。2カ月に1曲くらいのペースで作っていました。

──先に世に出た楽曲が前半に固まっているのは何か意図があってのことですか?

それは全体の流れを考えて、たまたまそうなりました。あと、収録曲の最後にタイトルトラックを置くとそこで完結!みたいな雰囲気になるから、最後に置くのは違うなと。最後の曲はその先を予感させるものにしたくて。だから今作で「第六感」を1曲目にするということは曲を作った時点で決めていました。

──最初に「第六感」というテーマの曲を作ったのは、そもそもどんなところからだったんですか?

私は全然ギャンブルをやらないので勝手なイメージですけど、ビギナーズラックの“勘”とか、CMの打ち合わせのときに聞いたボートレースのレーンが6レーンあるという話から「第六感」がすごくハマる言葉だと思ったんです。

──「第六感」からスタートした今作ですが、音としてどんなふうにしたいかはイメージしていましたか?

開けた作品にしようというのはずっと考えていました。だからタイアップものも多くお引き受けしたというのもあるし。「事実上」と「金字塔」はソロアーティストとしてのカラー作りというか、ユニット時代との差別化を明確に図りたかったので、わりとコンセプチュアルに「私とは、こうです」というアルバムを作った感覚なんですけど、「第六感」に関しては3枚目でもあるし、自分のできることで一番人と接する面が大きい部分を見せたいなと。2019年半ばくらいまでは自分がすごく閉じたモードだったんです。友達とかも全然作らない感じだったんですけど、そこから徐々につながる縁が増えてきたのが2020年から2021年で。そういう外の風を受けた作品作りを今までもしたかったんですが、一歩踏み出すのってすごく勇気がいるじゃないですか。

Reol

──そうですね。

今までやってきたままでいいんじゃないかという自分もいるし……。ただ、少数精鋭で作ることで1人あたりのカロリーがめちゃくちゃ高くなっていたんです。私は自分の作品だからいいんですけど、周りにもそれを強いてるな、というのはずっと感じていたので、そこのバランスもちゃんと取りたかった。多少の無理は必要といえども、やっぱり楽しく作らないと意味がないし。

──それに新たに人と接することが増えると、改めて自分の立ち位置も見直せたりしますよね。

そうですね。Reolは「強いアーティスト」というイメージがあると思うんですけど、Reolと実際の私には乖離した部分もあって、私自身は自己肯定感も高いほうではないし。Reolは私の理想像なので、中身の私とすべて同じではない。今回制作に携わってくれているメンツが、「君とだったら作ってみたい」と言ってくれたことも大きかったかな。頼ることの必要性を学びました。「ああ、もっと早く声をかければよかったな」「そうしたらみんなあんなにしんどいスケジュールじゃなかったのかな」とは思いました(笑)。

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──「人と接する面が大きい」ものを目指すことは、ある種のポピュラリティと向き合うことだったりすると思うんです。だから今作は今まで以上にチルな雰囲気や優しい印象を受けるというか、先ほどおっしゃっていた強さや攻撃性だけではない魅力が出た作品になったのだと思います。

やっぱり20代前半の頃は「やり方を変えずに売れたい」と思っていたんです。それが一番理想的だし、みんなそうだと思うんですけど、長く続けていくと「それって自己満足なんじゃないか?」という気持ちがすごく出てきて。多くの人に作用するものが作りたいし、自分の人生において多くの人に作用するものを作る期間があってもいいんじゃないかと思って。私は始めた当初は“尖っていた”と言えば聞こえがいいくらい尖っていたから(笑)。

──(笑)。

絶対に私のやり方が正しい!っていう裏付けのない自信みたいなものがすごくあったんですけど、やっぱりそれだけでは通用しなくて。「第六感」はちゃんと人と交わる“交差点”まで出ようという気持ちでメロディを書いたし、それが世の中からの評価を受けると「やっぱりそうか」という納得もある。自分自分!っていうのも、それはそれでストイックでカッコいい部分があるのかもしれないけど、人に聴かせる音楽である以上はその人のためにもなってほしいから、歌詞の書き方とかも変わりましたね。

──それはやりたいこと自体が変わってきたということではなく?

それは全然ないですね。自分がやりたいことをやっている場所に人を引っ張ってきたいというか。「ここまでは譲れるな」という部分は譲って、徐々にこっちへ引き込みたい(笑)。

人が突然変異する瞬間って、まさに恋愛じゃないか

──制作陣の顔ぶれでお馴染みのGigaさん以外の、KOTONOHOUSEさんとGeekboyさんの2名にはそれぞれどんなことを期待してお願いしたんでしょうか。

ことのは(KOTONOHOUSE)くんは打ち合わせでたまたま同い年だということがわかったんです。聴いてきた音楽もちょっと被っていたり、共通言語が多くて。かわいい音作りとか、打って変わってアンニュイでダウナーなサウンドだったり、いろいろ器用ですね。なんでもできるからこそ、今回は日本人的な心の機微を打ち込みで表現してもらいたいなと思って、願いとか祈りをテーマにした「白夜」をお願いしました。

──まさにトラックのメインテーマはちょっとオリエンタルな要素とJ-POP感があります。一方のGeekboyさんはどうでしょう?

2020年の初めくらいに韓国の男性アイドルグループ・SF9の「Now or Never」を聴いたときに、面白い音作りをするなと思って。“ぽわん”っていう泡みたいな音が入っていたりとか、絶対にドラムで使わなそうな音をフィルに混ぜていたり、ちょっとヘンな音を入れたりするところがいいなと思って声をかけました。SF9に限らず、たまたま好きだった音楽のプロデュースを彼がしていることも多かったので、必然的に。

──作り手からすると変わったことをしているけど、普通に聴いたらスルッと聴けちゃうバランス感というか。

そうです、そうです。サンプリングした音を音楽としてちゃんと表現に持ち込むのがうまいんです。あと、彼はイギリス在住なんですけど、イギリスと日本って同じ島国だし、わりと建前で話すところとか、国民性が似ているところもあると思って。マインド的に近いものを感じていますね。

──確かに「Nd60」は軽快なサウンドの中に、日本っぽい哀愁も感じられますね。

どこかUSとかのダンスミュージックと違うのがいいですよね。やりとりをしていると自分の作り方と似ている部分も多い気がします。

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──歌詞についても伺いたいです。文字量や情報量が多いことや、その言葉のはめ方や響きの面白さはこれまでもReolさんが武器としてきたところですが、今作で新たに意識したことや取り組んだことはありますか?

「ミュータント」はサビのメロディを6回くらい書き直してこれにたどり着きました。サビ以外はすごく言葉数が多くてポエトリーっぽかったりもするんですけど、サビはちゃんとJ-POPにしようと思って。「ミュータント」は突然変異体という意味なんですけど、知人にワクチンを2回打った話をしたら、「ミュータントになったんだね」と言われて。そこで“ミュータント”という言葉がなんかいいなって思ったんです。人が突然変異する瞬間って何だろう?と考えたときに、精神的な変異ってまさに恋愛じゃないかと思って。

──ああ、なるほど。

そこからミュータントっていう言葉を使いたいがためにこの曲を書いたんですよね。普段はそういう作り方は全然しないんですけど、それくらいこの言葉を気に入ってしまって。

──コロナ禍の影響を受けた曲という点では「Q?」もそうなのかなと。

「Q?」はコロナもそうですけど、日本でもBlack Lives Matterのデモ活動が盛んになった時期にちょうど歌詞を書いていたので、いろいろ思案させられる事象が多かったですね。

──現実で起きていることを踏まえて詞を書くことは多いですか?

例えばニュースを見ていて、自分の琴線に触れるニュースがあっても、そのことを題材にした曲を書こうとはならないです。「胸糞悪いな」とか、「やるせないな」とか、そういうことを思った経験が自分の中に蓄積されて、いざ楽曲を書こうというときにはまた違った形でアウトプットされていくというか。本当に断片的に出てくる感じです。

「自分のため」と「あなたのため」

──ほかに今作を作る中で、印象に残った部分はあります?

自分の心情的なものを吐露した曲でいうと、やっぱり最後の「Boy」になりますね。自分の思っていることを色濃く言いたいタームは自分のキャリアの中でたびたびあるんです。それこそ「No title」という最初に作った楽曲だったりとか、「平面鏡」(2018年3月発売の1stミニアルバム「虚構集」収録曲)とか。そういうときって、何か自分の感情が大きく揺れることが起きた直後とかに歌詞を書いてることが多いんですけど、「Boy」はまさにそういう感じ。今書こうとしてもこういう歌詞にはならないなという曲です。

──当時はどういう心境だったんですか。

人との別れ、すれ違いみたいなことを経験した頃に書いていて。だからどう受け取ってもらってもいいんですけど、自分のためにやってるのか、人のためにやっているのか、その交差点はいったいどこなんだ?ということをずっと考えながら作っていた今回の作品を、この曲が一番表現しているかな。

──パーソナルでありながら外にも向いているというか。

そうだと思います。2番の歌詞の「『君のため』いつだって それはあたしのためだった」っていうフレーズを書いたんですけど、「あなたのためにがんばりたい」というのはこっち側のエゴで、“あなたのため”っていう押し付けだと思うんですよね。そうやってがんばるのはとても楽で、自分のためにがんばるのって難しいんですよ。だけど、自分のためとあなたのため、どちらも尊いことだと思うし、人のためにがんばれないっていうのもそれはそれで不健康だよなと思うんです。そこをちゃんと50:50でできればいいと思うんだけど、やっぱりその時々でバランスは崩れるじゃないですか。そういうことを考えていた時期ですね。

──曲調自体は力強くアンセミックです。

ダンサブルなビートの上にシンガロングも入れたのは、ただの哀歌にはしたくなかったからですね。人は1人で生まれ1人で死んでいくんだということ、それぞれの孤独を前提にしたうえでそれでも人と交わりたいという欲求が人間には備わっているから。そのためにバランスをとりたい。哀歌ですけど「関わり合う」ということ自体を諦めない、そういう意味ではとてもポジティブなことを歌っています。

──ちょっと少年マンガのような熱も感じます。

「Boy」は、「1LDK」(「金字塔」収録曲)という曲で歌った“憧れ”さえも追い越していけという曲なんです。だからこの「第六感」は、「金字塔」よりもっと開けた感覚があります。

──先ほど「作品の最後は次への布石」とお話しされていましたね。

はい。エピローグでありプロローグでありたい、みたいな感覚です。

──それを踏まえ、次以降に向けて今時点でやりたいことや、なりたい姿はどんなものですか?

今はもっとReolというカルチャーを大きく、より一般の方に認知していただくためにがんばりたいです。ずーっと変わらない気持ちとしては、みんなをビックリさせたいんですよね。それをモットーに、もっと大きな、できるだけいい衝撃を世の中へ届けていきたい気持ちがあります。今作は2年くらいかけて作ったので、ここからまたちょうどいいペースに戻して音楽を作れたらいいなと思ってます。

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Reol『第六感』インタビュー――リミッターを外して手に入れた自由

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淡々と、しかし静かに燃える炎のような渇望……Reolの最新ミニアルバム『第六感』から聴こえてくるのはそんなサウンドと鋭角的な言葉の断片だ。彼女には自身のアピアランスを客観的に捉えて作品に投影する才能が備わっているに違いない。Reolの指し示す未来とは?

──ミニアルバムとしては2枚目となる『第六感』が完成しました。

「アルバム『金字塔』のあとすぐに制作に着手したんですけど、「第六感」という楽曲ができたときに、ミニアルバムのタイトルも『第六感』にしようと決めました。内容的には、全曲シングルカットできるぐらいポップであることを念頭に置いて、今まで以上に開かれた作品にすることを意識して作っていきましたね

──それは、これまでの作品とは異なる意識だった?

「これまでの音源集たちは割とコンセプチュアルというか、世界観や時代感を決め打ちで作っていたんですけど、今回はもっと自由度が高いです。その上で、フューチャー感を意識しました。『虚構集』と『事実上』は音的に90年代回帰をテーマに攻めていて、「文明EP」と『金字塔』は世界四大文明のトライバルな感じにインスパイアされて作ったんですけど、今回の『第六感』は未来を見据えている感じ。懐古するんじゃなくて、新しい時代に視座を向けた音源集なので、そこがかなり違いますね。過去への憧れじゃなくて、未来への憧れ。そういう作品です」

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──過去から未来へと志向が変わったのは、自分自身に変化があったから?

「コロナ禍もそうですけど、今この国で生きていたら感じざるを得ない“時代が停滞している感じ”から、一歩踏み出したいというストレスが溜まっていたんだと思います。それで、未来が見られない状況に置かれたら逆に未来が見たくなるというか、少なくとも私はそうでした。いろんなものがふるいにかけられて、価値観の違いとかがすごく浮き彫りになったこの2年間だったと思うんですね。今まではちょっと目を背けていた他人とのずれが、コロナ禍によって可視化されたというか……その中で、自分が交わりたい人ってどういうところにいるのか、自分の音楽を通して交わることの目的は何か、そういうことをずーっとめまぐるしく考えていました。それは、別にこれまでも考えていたことだったんですけど、自発的に考えるだけじゃなくて、外的要因で考えさせられることも含めて音楽を作ったのが、2020年と2021年だったと思います。ものづくりをする人は、みんなそうだと思うんですけど」

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──自由度が高いという意味では、ボーカリゼーションについても、歌とラップの境界線もより曖昧になって自由に行き来している印象を受けました。性差を超えるというか、ジェンダーレスな声質もひと役買っている感じがしますし。

「私が自分の声の特性に気づいたのは、インターネットに歌をアップするようになってからなんです。高校生ぐらいからバンドを組んで歌ってはいたんですけど、そのときは生身の自分を見た感想をもらうじゃないですか。そうすると、どうしても見た目で女性が歌っているというバイアスがかかるんですよね。だから、自分の声の特性に気づくこともなかったんです。でも、インターネットに自分の歌をアップしたときは顔を出さないリリックビデオみたいな映像だったから、私の素顔を知らない人たちが声だけを聴いて、女の子かもしれないし、男の子かもしれないしって。最初はそれが嫌だったんですけど、自分にとってのコンプレックスってまわりから見たらチャームポイントになっているかも……って考えるようになって、自分の声質を前向きに捉えるようになりました」

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──それこそがReolさんのシグネチャーになっているとも思います。

「ジェンダーの問題は、ここ数年でいろんなところで取り上げられるようになりましたけど、私自身は女性性と男性性についてずっと前から考えていて。ずっとジェンダーに対して違和感を抱いた状態で生きてきて、20代の前半までは迷いがあったんです。でも、時代がジェンダーに対してオープンになってきて、自分も歳を重ねたことで自分を受け入れられた。今は自分の中には両面の性があると思っていますね」

──そうした心境の変化があることで、音楽以外の面でも自由度が増した?

「自分が女性として見られることや女性"らしさ"を強制されることへのヘイトは、昔より減ってきたなと思います。前は女性らしい服装が嫌だったんですけど、ボーイッシュなファッションを繰り返していると、逆に女性らしい服装もしたくなったり。今はそういうところのリミッターも外れて、自由に行き来できるようになった気がします」

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──楽曲制作をするにあたっては、どんなものをモチーフにしたり、どんなものからインスパイアされますか?

「今までもずっとそうなんですけど、映画や本といった創作物よりも、それこそ四大文明のような事象からインスパイアされることが多いです。今回の作品でいうと、「Nd60」や「ミュータント」がそうですね。「Nd60」はネオジムという世界一強力な磁石のことなんですけど、その磁石の存在を拠り所にして自分との共通項を探っています。「ミュータント」は突然変異体という意味ですけど、人間にとって恋に落ちる瞬間って、自分に突然変異が起こるみたいなことだと思うんですよね。例えば相手に合わせて服装が変わったり……そういう見た目の変化も含めて、その前の自分から変わっちゃう。そんなふうに、自分が興味を持った事象からインスパイアされて曲を作ることが多いです」

──最近、何か興味を惹かれる新しい事象は?

「ニュースなどを見て世相を知っていくことは好きですし、新たなに興味を惹かれている事象もありますけど、それを言ったら次の楽曲のネタバレになっちゃうかもしれないので(笑)。でも、ただ単に興味を惹かれる事象があれば曲が書けるわけではなくて、書きたくなるのは自分の感情が揺れたとき。私は、自分に降りかかる喜怒哀楽を掘り下げて曲を書くタイプなので」

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──ちなみに第六感はあるタイプですか?

「直感みたいなものはありますね。だから、何ごとも選択が早くて、優柔不断な傾向はないです。これとこれならどっちがいいか、すぐに決まります。自分の中に確固たる美意識があって、そこから外れていたら切っちゃうんですよね……って言うと潔い感じですけど、切ったものの中には“ああ!あのとき残しておけば良かったな”と思うこともあります(笑)。でも、その後悔も人生だから」

──優柔不断なタイプにイライラしたりします?

「そんなことないですよ(笑)。自分とは全然違うタイプだからこそ、愛らしいなと思います。私にはない感覚を持っている人は興味をひかれます」

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──『第六感』のリリースから間もなく2022年がやってきます。

「正念場だと思っています。戦闘モードというか、ギアを上げ続けてトップスピードで突っ走っていこうという感じですね。自分の中にはずっと大きな野心があり続けているんですけど、それを燃やし尽くしたいという感覚があるんです。そのためにももっと聴いてくれる人を増やしたいし、音楽にアンテナを張っている人じゃなくても何気なく耳にして好きになってもらえるような、マスな存在に自分もちょっと近づいていきたいと思っていますね。こういうサウンドのアーティストは少ないと思うので、その第一人者になりたいんですよね。でも、第一人者になるとしたら、Reolをもっと大きなものにして、大きなことをしなきゃいけない。そのための準備を今整えているところです」

(おわり)

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Billboard JAPAN

Reol 数字に惑わされず、自分にしか作れないものを――最新作『第六感』を語る

Reolインタビュー

シンガーソングライター/マルチクリエイターのReolが新作となるミニ・アルバム『第六感』をリリースした。「BOAT RACE」のCMソングとして起用された「第六感」や『デジモンアドベンチャー:』のエンディング・テーマ「Q?」など、TVなどのメディアを通して、そして制作されたミュージックビデオを通してすでにリスナーには浸透している曲が中心となった本作。その意味では、フューチャーベースや現在進行系のダンス・ミュージックを基軸にしながら、多くのリスナーに訴求する「ポップ・ミュージック」としての強度をさらに高めている。しかし同時に、そこには入れ替え不可能な、Reolでしか作り得ない「コア」がしっかりとあり、その独自性こそ、世界中からReolの楽曲が求められる理由(YouTubeのコメント欄の多言語ぶりを照覧されたし)であることが感じさせられる。 Reolの「第六感」、つまり「Reolしか感じ得ないオリジナリティ」を信じよう。

――Reolさんは、昨年は生配信ライブ【Reol Japan Tour 2020 ハーメルンの大号令 –接続編–】、そして今年は【Reol Installation Concert 2021 音沙汰】と、コロナ禍において新たな形でライブを展開されました。特に【音沙汰】は、「Installation」と名付けられたように、音楽的なアプローチや映像表現など、新たな、そして総合的な形で表現されたライブになりましたね。

Reol:サウンド的にもカルテットを迎えて8人編成で。それは前々からやってみたかったことだったんですね。でも、どうしても私のライブに求められるのはアッパーな部分が強かったので、そういったアプローチは従来のライブに組み込みにくくて。だけど今の状況ならばそういった「実験」をライブに組み込んで、新しい形で表現ができるなって。

――そういったイメージを実際に形にした感触はいかがでしたか?

Reol:「これからもこういう構成でライブをやって欲しい」という声も多くて、盛り上がるだけじゃなくて、私の歌や歌詞、音楽をじっくり聴きたい人が、想定よりもっと多かったんだなっていうことが分かったのは嬉しかったですね。それに、今まで【音沙汰】のようなチャレンジはしてみたいと思いつつ、例えばピアノ伴奏にボーカルだけで向き合うとしても、以前はそこに自分の歌唱スキルが追いついていなくて、粗が見えちゃうんじゃないかっていう不安があったんです。でも、今はこれまでのキャリアや経験を踏まえて、それができるという自信が生まれたし、それによって自分としても「新しいあり方」を見つけて、お客さんにプレゼンができたのは手応えになりましたね。

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――そして前アルバム『金字塔』から今作までの間には、『ヒプノシスマイク』の女性ディビジョン・中王区 言の葉党に「Femme Fatale」を提供されました。

Reol:もともと私の作詞は、初音ミクに歌詞を書いて歌わせるところから始まっているので、その頃のことを思い出す部分もありましたね。楽曲に関しては、3人のキャラクター、3人の声優さんがいるので、各々の声のスイートスポットを考え、女性キャラクターとして初めての楽曲はどういう内容だったらヒプマイの世界が深まるかを考えました。ただ「中王区の楽曲がリリースされる」って発表されたときのSNSの反発はすごかったですね(笑)。

――確かに、ヒプマイ世界においては、中王区はヒール側だし、女性ファンの多いコンテンツでもあるので、余計にそういったバックラッシュが起きそうですね。

Reol:「あんな女たちの曲!」だとか結構すごいことが書かれて(笑)。でも逆にそれが制作に向かうエネルギーにもなりましたね。ヒプマイの男性陣や男性性を否定することなく、それでも女性性や女性の尊厳を肯定する曲を作りたいなって。

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――その意味でも、女性としての存在をエンパワーメントするような内容でしたね。一方で、Reolさんの楽曲自体はノンバイナリーというか、そういった「性別」にウェイトを置いた歌詞は殆ど無いですね。

Reol:そうですね。性別だったり、色々とボーダレスにしたいというコンセプトがReolにはあるので。逆にそういった部分にフォーカスした曲は自分のフィールドだったら生まれなかったと思うので、刺激的だったし、やりがいがありましたね。

――そして今回の『第六感』ですが、作品構成としてはMVなどで発表されていた楽曲群が中心になっていますね。

Reol:『文明EP』『金字塔』と前2作がコンセプチュアルな作品になっていたんですが、今回は一曲一曲としてカットされても成立する楽曲で、曲単位でしっかりと届くものがテーマであり、現状のコンセプトになってると思いますね。「アルバム一枚を通して作品」という作り方も好きなんだけど、時代的にはサブスクやYouTubeで単曲を聴くような流れがあるから、そのリスニング状況を想定した時に、「キャッチーでいい曲」って思えるものにしたいっていうのが、コンセプトとしてありました。

――確かに「第六感」の平歌からサビへの接続は、過剰にドラマティックではないスムーズな展開なのに、非常にカタルシスを感じる流れがありますね。それは「メロディとトラックとボーカルの高い強度」がしっかりと融合していることで生まれていると思うし、それは「キャッチーでいい曲」の条件を満たしているんじゃないかなと思います。同時にそれは「第六感」のストリーミング1億回再生超えという数値にも現れているのではないでしょうか?

Reol:「第六感」は多くの人に好きになってもらえるという手応えはあったし、そういう曲をCMのために書き下ろせたというのも自信に繋がりました。だけど、再生数や「インターネットの数字」に関しては、そこまで重きを置いてないんですよね。

――それはなぜ?

Reol:そこだけに惑わされたくないんですよね。ネット上の再生数や数字ってインフレする一方だし、「一番売れてるものが果たして一番素晴らしいものなのか?」っていう疑問と同じように、「ネット上の数字が高いこと=いいこと」なのかなって。もちろん、再生回数が増えるのは嬉しいし、見てくれる人がたくさんいるというのは、当然モチベーションにもなります。だけど、それを理由(や動機づけ)にして自分の表現活動を続けられるかというと、それは分からないし、やりがいは他の部分にあると思うんですよね。それに再生数を狙った曲作りをしたら、バレるだろうし、そう分かりながらは歌えない。私は作ったことのないものを発明したいし、アップデートしていきたいんです。今の自分にしか作れないものを作って、同時に商業的にも成功する曲を作る。それが一番大事だし、目指す部分ですね。

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――今回の『第六感』は7曲中4曲がMV制作され、MVが付属したバージョンもリリースされるので、MVにフォーカスしてお話を伺いたいのですが、『金字塔』以降に制作されたMVは、Reolさんのフィジカルな部分が強くなっていると感じました。「ゆーれいずみー」や「HYPER MODE」など、これまではガジェット的な雰囲気だったり、2次元と交差するような表現が印象的でしたが、『第六感』に収録されたMVは、ダンスや表情も含めて、より肉体性や実存性が強くなっていますね。

Reol:素晴らしいと思うもの、可愛いと思うもの、素敵だと思うもの……そういった様々なものが人生経験を経た上で増えていった気がしますね。食わず嫌いだったものがどんどん治った、みたいな(笑)。例えば「Boy」で笑顔を出してるんですが、今までのMVでは全然笑ってなかったし、監督からもそれを求められる部分があって。それで尖ったイメージを持たれたり、ドSだと思われていたり(笑)。でもそういった流れの上で、今回のように「普通の表情」を出すと、それ自体が新しい表現にもなっていると思うし、そう感じてもらえればなって。

――一方、今回収録のMVには、「Reolと関係を構築する他者」は登場しませんね。過去の作品でもそういった表現をされてきましたが、それでも「1LDK」などは明確な他者が存在していた。しかし、今回は「第六感」で東京ゲゲゲイのメンバーが登場しても、関係性としては断絶している。また「白夜」で対峙する白の衣装と黒の衣装の二人は、どちらもReolさんですね。他のMVに関しても他者と対話するようなシークエンスは無いし、登場してもマネキンやダンサーといった、表現上は「モブ」として扱われる存在です。その意味では「大勢の中の孤独」のような部分が、印象的に通底していると感じました。

Reol:確かに「マジョリティとマイノリティ」のような部分が作品の要になっていると思いますね。それを前提にしたというよりは、後から思い返して気づいたことですが。やっぱり私はニコニコ動画っていうカルチャーから登場して、オリジナル楽曲を制作して、メジャー・デビューを果たした……という意味でも、マイノリティ側だと思うんですね。個人的な部分でも、例えば身長が低いとか、少なくとも多数派ではないっていう自覚が強いんです。そういう人間がいかに他者と関係を持ち、この世界に身を置くかってことを、ずっと自分の人生で考えてきたことでもあって。それが今回のMVとか映像作品に反映されたのかもしれないですね。

――ただ、楽曲のテーマとしては孤独を求めるようなものではないのも興味深くて。

Reol:すごく閉じた世界で生きてたんですよね。友達とかもあまり自分から能動的に作らなかったし、話しかけるようなこともなくて。今も昔なじみの人たちとばかり作品作りをしてて、それはすごく楽しいんだけど、ずっとそれを続けるのかなって思ってた時に、【ROCK IN JAPAN】のようなフェスに呼ばれるようになって。そのバックヤードでいろんなアーティストが会話しているのを見て、私もずっとこの(閉じた)感じで行かなくてもいいんじゃないかなって思ったんですよね。私は、ニコニコ動画は塞ぎ込んでる人間がやるものだと思ってたし、実際自分もそういう時期に始めたんです。インターネットを通して、学校の友だちではない、クリエイティブな仲間と出会ったから、その世界がベースにあるんだけど、(今は)もうちょっと人とのつながりを考えている時期かなって感じです。

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――歌詞に関してですが、今回はこれまでよりも聴感として気持ちいい言葉遣いにフォーカスされていると感じました。それがフューチャーベースを軸においたサウンドとの親和性が非常に高くて、ダンス・ミュージックとしての強度がすごく高いなと。

Reol:歌詞を一発で聞き取って、共感して欲しいって望んでたとしたら、もっとフォークとかカントリーを選んでたと思うんですね。だけど、私はまず音として聴いて欲しいし、それでいいとも思ってて。ただ、なんとなくずっと聴いていて、ある時にその言葉やメッセージが響いてくれたり、ハッと気づいてくれたら嬉しい。やっぱり聴き心地が良くないと、中身を知りたいとも思ってもらえないと思うし、まずは聴き応えにスポットを当てたいんですよね。

――最後に、これからの動きを教えてください。

Reol:【音沙汰】はガラッと方向性を変えたし、その編成のファンもついてくれたので、すごく良かったと思うんですけど、次はもう少しアッパーな方向にいきたいですね。やっぱり一緒に盛り上がれるようなライブをしたいなって。曲作りに関しては、作り続けています。一つのパッケージができたことで、改めて音楽が作りたいモードになってて。まだ試していないフィールドはたくさんあると思うので、それを形にしていきたいですね。

BARKS編集部

Reol、『第六感』を切り拓いた「いちばん大きな交差点に出るということ」

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現在、YouTube登録者数は143万人を突破、総再生回数は7億回を超えるなど、国内外から注目を集めているシンガーソングライターであり、自身のアーティスト活動全般をセルフプロデュースするマルチクリエイターが、Reolだ。前アルバム『金字塔』から1年11ヵ月ぶりの2ndミニアルバム『第六感』には、その間にデジタルリリースされた『BOAT RACE 2020』イメージソング「第六感」、TVアニメ『デジモンアドベンチャー:』エンディング主題歌「Q?」、スマホアプリゲーム『白夜極光』テーマソング「白夜」など全7曲が収録された。

限りない完成度に達した上で、自身の美学とキャッチーさを両立させるセルフプロデュース力の高さは前述したとおり。自らの内面へ向かうラジカルなサウンド構築と、その幅を広げるべく他者との関わりを重視したという作品コンセプトは、結果、自身の可能性をより大きく切り拓くことになったようだ。『第六感』に思い描いたもの、制作面での変化、各曲のサウンド&アレンジ方法、ポピュラリティということについて、じっくりと話を訊いたロングインタビューをお届けしたい。

◆   ◆   ◆

■ここからここまでが美しくて ■自分がやるべきことだっていう感覚

──ミニアルバム『第六感』は、2020年のフルアルバム『金字塔』とはまた違った雰囲気で。よりEDMやエレクトロサウンドが突き詰められた感じがありますね。

Reol:アルバムは毎回、コンセプチュアルに作るほうで。シングルコレクションのようなアルバムは世代じゃないというか、私はアルバムアーティストで育ってきたので、自分もそういうものを作りたいという感覚が強いんです。

──では、『第六感』にはどういったコンセプトを立てましたか?

Reol:『金字塔』というアルバムが、ソロアーティストとしてどういう音楽性でどういう世界観でやっていくかという基盤作りだとしたら、今回の作品はもっと開けたものを目指したというか。作品としてよりキャッチーな……キャッチーというのもすごく難しい言葉だと思うんですけど、他者との関わりをもう少し広げることがコンセプトになっています。

──その他者はリスナーとの関係も含めですか?

Reol:リスナーともそうですし、私自身の作品の作り方の部分からもですね。

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──これまで共に曲やアレンジでタッグを組んできたGigaさんに加え、今回初めて組んだクリエイターの方もいますね。

Reol:そうです。トラックメイカーと国境を超えてご一緒したり、そういうことも含めていちばん大きな交差点に出るということが、今回のアルバムのコンセプトです。

──新たな人と組んで、制作面での変化はありましたか?

Reol:『金字塔』からじわじわといろんな方に入っていただいてはいたんですけど、今回も初めてご一緒するトラックメーカーが2人います。なので、人が変わったことで変化した部分はあると思う。でも必然的にこうなったという感じなんです。3作目がこうなるだろうなということは『金字塔』のときから想定していました。

──こういうことをやりたい、というのが先にあったんですね。

Reol:そうです。全部つながりで作っている感覚があるので、1枚作り終わったら、次の作品のことを考えているという感じなんです。『金字塔』を作り終えたときには、次のアルバムはもう少し時間的余裕を持って作りたいというのが大前提としてありました。『金字塔』までは、1年間に2作品くらい出していて、その間にツアーもありましたし、単純に駆け足でやりすぎたというか、身体的に無理をしていたので。そういう部分で、ちゃんとインプットしながら制作したいなと思っていたんです。その矢先に新型コロナウイルスの影響があって、これは、タイミング的にも世の中がそう言っているんだなと感じたので、今回はじっくり作る、ということに向かいました。

──時間がある中で、曲をたくさん作っていた感じですか?

Reol:もちろん作ったんですけど、このアルバムには採用しなかった曲も無限にあるという感じですね。ストックを作っておいてそれを使うことは、私はあまり好きじゃないんです。

──それは、リアルタイム感が欲しいから?

Reol:新鮮なものを出したいというのもそうですし、今作っている作品に入れる必然性がなくなっちゃうというか。ストックしたものを引っ張り出してきても、ほかの曲と並べたときにちぐはぐになってしまう、私の場合はそう感じることが多いので。『第六感』もこの2年間で作った曲だけで構成されているという感じですね。

──それくらいReolさん自身、いろんなものに興味や関心が向くスピード感がある感じでしょうか?

Reol:うーん、どうなんですかね。たぶん私は、いわゆるミーハーではないと思っていて。わりと自分の美学の幅が狭いと思います。ここからここまでが美しくて、自分がやるべきことだっていう感覚がデビュー当時から変わっていないんです。そこから絶対逸れないようにやっているという自覚はあります。

──はい。そこを掘り下げながら、研ぎ澄ましていくという。

Reol:そうですね。ただ、コアなものを作りたいわけではないし、玄人ウケを狙っているわけでもない。そういうものを狙うなら、メジャーでやる意味がなくなってしまうと思うので。自分が求められていることもやるべきだと思うし、求められているなかで自分が作りたいものがどれなのか、それをやるのがプロなのかなと思っています。

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──今回、ディープなエレクトロやEDMもあり、またコアな音も聴かせながら、ポップさがど真ん中にあるものになっていると感じました。そのさじ加減は自分でもバランスを計りながら、見極めているんですか?

Reol:たぶん、ライティングする人格とプロデュースする人格が自分の中に同居しているので。頭の中で、相談してもらう感じというか(笑)。

──そこは別人格なんですね。

Reol:ドロップがサビです、みたいな曲を日本でやっても、EDMリスナーにしかわからないと思うし。それに私は、ある特定ジャンルに特化した音楽を作りたいわけではないんですよね。“J-POP”ってすごく都合のいい言葉だなと思うんですけど、いわゆる音楽をカテゴリー分けしない、ライトに音楽を楽しんでいる人たちに聴かれる音楽を作りたいというのがあるので。ニッチなことは、自分がわかる程度にしかまぶさないようにしています。

──ポピュラリティを持ちながら、それをいかに壊したり刺激的にしたりというバランス感ですね。

Reol:私は昔からむちゃくちゃチャートも見るし。その一方で、自分自身がいわゆるJ-POPから連想されるような音楽性でないことはわかっているんです。でもやっぱり、売れている音楽の何がいいと思ってみんなが聴いているのかということは、昔からずっと気になっているんです。だから絶対聴きますね、ヒットチャートの音楽も。

──ヒットチャートを自分で研究する中で、今ってリスナーの耳がこんなふうに変化してきているなと感じる部分というのは?

Reol:音楽をスマホで聴く人ばかりになったし、TikTokとかの流行をみると、わかりやすい音が求められているんだろうなとは思いますね。音ネタとか編曲に耳を傾けてくれるリスナーは、わりとTikTokのおかげで増えたと思うんです。ただ、それをみんな“編曲”だと思って聴いてないじゃないですか。いかにそう考えさせないか、みたいな音楽が大事というか。今はそういうものに親和性があるのかなと思います。だから、インターネットミュージックで生まれたような、私の古巣でもあるニコニコ動画とかで生まれた音楽は、若い子には新鮮に聴こえるんだろうなって思います。

──一方で歌詞を重視して、自分に重ね合わせて聴いているリスナーも多いですよね。そうところでReolさん自身、歌詞にメッセージを忍ばせるということも意識しますか?

Reol:歌詞は大事だと思っているんですけど、自分の中ではメロディのほうがプライオリティが高いですね。言葉をいかにリズムとして聴かせるかということを重視するかもしれない。ちゃんと押韻されていないと嫌だし。海の向こうの人が音として聴いたときにも心地よい言葉でありたいというのもあるんです。それは別に海外を意識しているということではなくて、昔からずっとそうじゃないと気持ちが悪いというのがあるので。私はあまり、一聴したときに歌詞が聴き取れるような歌詞は書かないほうですけど、後から何を歌っているんだろうなって思って歌詞を見てもらったときに、なるほどなってなるような、ハッとするようなものが書けたらいいなと思っています。

──楽曲「第六感」などもそうですね、言葉の区切りや音が重視されている。

Reol:そうですね、どちらかというとリズムに振った曲なので。

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■仕事やプライベートで人と関わるなかで ■どうしてもメメントモリというのは考える

──「第六感」は、曲作りとしてはどういうところからスタートしているんですか?

Reol:これはサビのメロディから作りました。その後にビートを作って、という感じですね。

──デモ段階でどのあたりまで作り込んでいくんですか。

Reol: CM(『BOAT RACE 2020』イメージソング)尺で流れたサビの部分、あれがデモのようなものでしたね。打ち込みなので、プリプロのようなものがないからデモというデモもない。タイアップの話をいただいてCMとして使われるとなると、サビから作ったほうがいいとなるんです。とはいっても、もちろん別にAメロから作ってもいいし、自分がどこから助走をつけたらうまくいくかみたいなことを試した結果、「第六感」はサビからできたという感じでした。

──曲や編曲を一緒にやっているGigaさんとはもう長く作品を重ねてきていますが、ふたりの間で、今回より突き詰めたいところなどはあったでしょうか?

Reol:正直、お互いがどういう音楽を聴いて、何がしたいかは阿吽の呼吸でわかるというか。音楽を作る以外のシーンで会話をすることも多いので、今この音楽にはまってるな、とかもお互いにわかった上で制作に入るので。ここはこれをリファレンスにしてとかは、ほぼ必要がないですね。

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──では、KOTONOHOUSEさんやGeekboyさんなど新しい方とはどうでしたか?

Reol:KOTONOHOUSEくんとかGeekに関しては、自分自身の個性からかけ離れてない人選をしたつもりですね。たぶん、チェックしてる音楽が自分と似ているだろうし、自分がいいなと思ったものをいいと思う方たちだろうなという勘があって頼んでいるところがある。だから、こちらに寄っていただくというのはなかったんです。好きなブランドが似てるみたいな感覚ですかね。

──好きな感覚が共有できているから大丈夫みたいな。

Reol:そうです、この人もモード系だからみたいな。そういう感覚で近寄っていったので。ここのフィルはどうしたいとか、細かな音符的な話はしますけど、すり合わせとか、大枠での話は特にはしなかったですね。

──KOTONOHOUSEさんはどういったところからの人選ですか?

Reol:私はもともとSoundCloudとかを漁るのが好きで、フューチャーポップとかフューチャーハウスみたいなジャンルがあることも知っていたんですね。ああいうジャンルの方たちの音楽性や音の作りは、とてもボーカロイドに近いんですよ。ageHaでDJをしているようなクラブイベントって、たぶんボカロシーンとも親和性があると思うんだけど、意外と交わらずにきているなと思って見ていて。気になっていたという感じで、お声がけしました。

──実際どんなやりとりをしたんですか?

Reol:一回打ち合わせをして。あとは私、人と会って曲を作ることが基本的にないんです。誰かが部屋にいると曲が作れなくて(笑)。

──そうなんですね。

Reol:はい。データでやり取りをするだけ。誰かが部屋にいると気配が気になってしまって曲ができないので、誰にもいてほしくないんですね。マネージャーさんや友だちとかももちろん無理だし、お母さんとかでも無理なんです。外的なやり取りみたいなものが入ってくると、音楽が作れなくなってしまうので、データを書き出すまでLINEも見ないし。スイッチが違うんでしょうね。人とコミュニケートすることと、自分の孤独から何かを抽出する作業が、工程としてまったく違うから。カメラマンの人が暗室に誰も入れないというのと同じだと思います。

──徹底したプライベートと尋常でない集中力が必要な作業なんですね。KOTONOHOUSEさんが編曲を担当した「白夜」は美しい曲になりました。サウンド的にはどういうイメージで作っていきましたか?

Reol:「白夜」はアプリゲームへの書き下ろし曲だったので、オーダーがあったんです。そのオーダーから、ミドルバラードで壮大な感じを求められているんだろうなと解釈して。BPM 90くらいの曲は、これまで作ってこなかったんですけど、ここで一回やってみてもいいかなと。

──サビで曲の景色がぐっと広がる高揚感やエモーショナルさがあって。そのなかに、“生きろ”という叫びが響くのが印象的です。

Reol:ゲームサイドには1コーラス分をお渡しするという話だったので、2番以降で転調させたりとか。こんな展開になるとは私も思っていなかったんですけどね(笑)。ここまでメッセージ性が強く出てくるとも、あまり思わずに作っていたので、結果としてそうなったという感じですね。

──何が自分からこの強い言葉やメッセージを引き出したと思いますか?

Reol:結構私はニュースなども見るほうだし、世の中の動向を追っている部分もありつつ、自分が仕事やプライベートで人と関わるなかで、どうしてもメメントモリというのは考えることなんです。

──死生観ですか。

Reol:私は17歳の時に父親を亡くしているんですが、死んだ直後くらいに曲を作りはじめるようになって。私にとってすごく人間の死というのが身近にあるというか、その瞬間に身近になってしまったんですね。どうしても切っても切り離せない。初めて音楽を作ったときからずっと、そういうものと自分の音楽が表裏一体にある感覚なんです。

──「白夜」もそうですが、悲しみ苦しみ、孤独を描きながらも、希望が感じられます。

Reol:聴いてくれる人に対して、マイナスとプラスを行き来しながらも結果的にはプラスに振れたいというのはありますかね。それはどんな曲においても。

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──「ミュータント」と「Nd60」の編曲をしているGeekboyさんはイギリスを拠点とするプロデューサーでDJで、国内外のさまざまなアーティストを手がける人ですね。

Reol:解散してしまったんですがf(x)というK-POPのガールズグループが好きで。私、クレジット厨みたいな感じなんですよ。ニコニコ動画とかボカロシーンとかで育つと、誰が作ったかというのを見るんですよね。むしろメジャーシーンってミュージックビデオとかでもクレジットをあまり載せなかったりするから、ディレクターとかもちゃんと載せてよって思うことがあるんです(笑)。だからK-POPも、誰がコライトしているかとか、誰が作曲や編曲を手掛けているんだろうと気になって調べていくなかで、私が好きな楽曲、琴線に触れた楽曲にGeekboyが関わっていることが多くて。これはお願いしてみようかなっていう。「Nd60」のような、“THE K-POP”のダンサブルな感じもやりたかったので。すごくマッチしましたね。

──「Nd60」はどういう感じで曲作りが始まっていったんですか?

Reol:ネオジム磁石の存在を知って。このタイトルはそのネオジム磁石の記号なんです。ネオジム磁石は世界最強の磁石と言われていて、なんでもくっついちゃう。なんでもくっついちゃう磁石っていうところから私が妄想したのが、人間にとってのそういうものって、七つの大罪(キリスト教における、人を罪に導く欲望)なんじゃないかなと思って。惹かれたくないけど、惹かれてしまうものっていうのが、タナトスだったり、エロスであったり、怠惰であったり、憤怒であったり。そういうものと近しいと思って。ただ七つの大罪に対して、エモーショナルな切り口で曲を書いている方はたくさんいると思ったので、私はそこをポップに、あまり裏テーマがわからないように書こうっていうのがコンセプトでした。

──言われて初めて気づく感じでした。まず、リズムが飛び込んでくるという心地よさが先にあって、言葉でグルーヴを生むという音的な感覚が強かったので。

Reol:そうだと思います。

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■ギリギリっていう感じがずっとある ■ずっと黄色い線の上を歩いてるみたいな

──「Boy」などもその感じですね。「Boy」はミニマルなトラックだからこそ、言葉、声色が際立つ仕上がりです。内容は、ちょっと自虐ではありますが(笑)。

Reol:そうですね(笑)。自分に発破をかけている曲かなと。

──曲に込めた思いとしては、どこかで自分を叱咤する、奮い立たせる感覚もありますか?

Reol:手放しで人に“頑張って”というのは、私には抵抗があって。自分は頑張れているんだろうか?って思ってしまうから、頑張ってと言い切れないところがある。だから楽曲でも、人の背中を押せたらいいなとか聴く人に対してそういうふうに作用してくれたらいいなと思うことがあっても、それをいざ歌詞にしたためようとすると、私の人生の居場所的には、まだ言えなくて。それはこの先、言えるようになるかもしれないし、わからないですけど。今は、とにかく自分がボロボロになっている様を書くことで、自分も頑張ろうと思ってもらえるようにしか書けないし、自分にまだ器量がないんだろうなとも思うけど。逆にいえばそれは、今しか書けない瞬間でもあるのと思うので。

──これまでたくさんの曲を書いてきて、それでも拭い切れないものがずっとある?

Reol:曲にして昇華できるものと、そうでないものがあるんですよね。劣等感だったり、よく言われる自己肯定感だったりって、生きている間、ずっと自分の後をついてくる影のようなものだと思うんです。それが完全になくなることって、たぶんないと思うし。自分の人生にいろいろなトピックが起こったとしても、それが消えることは絶対にないんだろうなって。私にとっては、自分が音楽を作ることにおいて、無視できないひとつの要因というか。音楽が作れても別にそういうことを曲にしない人もいると思うんですけど、私はそこが切っても切り離せない。自分が自分たる要素のひとつだと思いますね。感覚的に、ギリギリっていう感じがずっとあるんです。良くも悪くもですけど、ずっと黄色い線の上を歩いてるみたいな。白線ですらないみたいな感覚が、なんかあるんですよね。

──作り続けることは、そのギリギリの感覚があってこそ生まれてくるというか。歌詞を書くということは、自分を削り取っていく感覚などもありますか。

Reol:近年は特にそうですね。昔は、若干恥ずかしさもあって、抽象的な歌詞も多かったし、フィクションみたいに取り掛かることも多かったけど。徐々に変化もあって。自分が感動したり、自分に大きく刻まれている音楽ってなんだろうと思い返したときに、自分が好きだったミュージシャンがめちゃくちゃはらわたを晒してくれた瞬間が好きだなと思ったんですね。終始何も考えさせないでくれる音楽も、私はすごく好きだけど、やっぱり、この人の音楽が好きだなって思ったときって、ある種ダサさが垣間見える瞬間というか、カッコ悪いところを見せてくれたときだと思って。私も音楽を作るからには、そういうタームがちゃんとコンスタントにありたいなと思います。

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──今回の制作のなかで、印象深く残っている曲はありますか?

Reol:世の中の皆さんと同じように、2020年からどうしても時が止まっている感覚があると思うんです。

──止まっているのか、空白がゆえすごく速かったのか、麻痺している感がありましたね。

Reol:その感覚のなかで、私も2年間この作品を作っていたから。あまり記憶がないというか。取り立てて、ここがすごく覚えているなっていうことがあまりないんだけど、淡々と、地続きで作られたなという感じですかね。

──改めて日常の大事さにも気づく時間でしたね。ミュージシャンであれば、ライブやツアーが日常でもあったと思いますし。

Reol:そうですね。逆に今までのことが非日常だったんじゃないか、くらいの感覚になりましたしね。

──じっくりと制作に向かう時間でもあったと思いますが、Reolさんは曲だけでなくミュージックビデオなども自身が携わっていますね。曲を作りながら、映像的なイメージのかけらみたいなものも同時にある感じですか?

Reol:もしこの曲でミュージックビデオを撮るなら、こういう色味にしたいなとか、こういうシチュエーションだろうなとかは、メロディを書いているときにぼやっと抽象的な感じで出てくるけど。言葉をつけた瞬間に、どういう街にハマる曲だとか、具体的な場所や情景が見えてくるところはありますね。

──「第六感」のミュージックビデオも面白かったですが、自分が生み出すものは自分で手掛けたい気持ちが強いのでしょうか?

Reol:手掛けたかったわけではないんです、本当は。そこはきっと、性格とかが起因していると思うんですけど、人に頼ることが苦手なんです。全部任せるよって言ったくせに、ディレクションしてくる人とかいるじゃないですか(笑)。そうなりたくないって思っちゃうんですよね。

──それならば最初から自分でと。

Reol:どうせ黙っていられる気がしないのなら最初から参加したほうがいいんじゃないかという感じで、ずっとやってきてしまったというだけなんです。やりたかったわけじゃないと思いますね、これに関しては。

──そうだったんですね。でも映像など別角度でものを創る面白さとか、広がる発想もありそうですね。

Reol:そうですね。私の音楽の原体験は、ピアノもやっていたんですけど、どちらかというとマーチングだと思っていて。自分の街にブラストという、世界を回っているマーチング界のシルク・ドゥソレイユみたいな素晴らしい集団がいて。子どもの頃、ブラストの公演を見たときに、私もこういうものがやりたいって思ったんですね。自分がやりたいことって、音楽は音楽としてあるんだけど、その音楽を使っていかにその音楽を魅力的に見せるかという、そういうショービズの脳みたいなものが原体験としてあるので。

──それこそ、みんなで作り上げる面白さじゃないですか。

Reol:自分本位なものを作りたいとは思わないんです。それは、リスナーに対してだけではなくて。リスナーっていうものが第三者だとしたら、二者の人たち全員がこの作品にすごく入り込んで作ったなという体験であってほしい──ちょっと押し付けかもしれないなとも思いながらではありますが。そういうのって、すごくわかると思うんですよ、クリエイティヴを見ていく上で。やっぱり人と作ると渦を作ることができるんですよね。それが楽しいと思います。

──渦ですか。

Reol:音楽を作るということもそうだし、ミュージックビデオもそうだし、その先のプロモーションや、レコード会社の人とこの音楽でどうしていくか、この音楽がどう見られたいかのか、みたいなこととかも含めた渦ですね。リスナーに届くその直前までのところが全部クリエイティヴだと思うんです。その渦が大きければ大きいほどいいなという感じ。

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■2021年は私にとって準備の年 ■アーティストとして次のステップへ

──そういうことでは、『金字塔』という前作は、その渦がリスナーをも巻き込んで大きなうねりを生んでいった実感はありますか?

Reol:うーん、ただツアーが止まってしまったとかもあったし……。でも、それはそれとしてすごくいいんだけど、Gigaとやることがお互いにとってスタンダードになりすぎてしまって。ちょっと新鮮味は失われてきてしまったなというのは、うっすらとあったんですね。そういう話ももちろんお互いにしたし。そういうことも含めて、キャパオーバーしていた部分はありますね。作業量的に、完全にほぼふたりみたいな状態で作ってしまっていたので。そういうところを預ける人を探さずやっていくと、ジャングルの原住民みたいになっちゃうんですよ(笑)。

──取り残されちゃう?

Reol:本当に。そうなることを、お互いに危惧していた部分もありました。向こうも他の人とやってみたらいいじゃんって話をしてきたし、私は私で彼自身が他の人と組んで作るものも見てみたいなというのもあって。次の作品はもっと開けたものにしようというのが、『金字塔』の時に決まっていたことだから。今、言っていただけたように、本当に『金字塔』で、もし渦を起こせたのだとしたら、それをもっと大きくするための作品ですね、今回の『第六感』は。

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──渦の担い手が増えたんですね。すでに頭の中は次へとシフトしていると思いますが、今感じていることはありますか?

Reol:2021年は私にとって準備の年というか。アルバムは作ったし、それが12月にリリースされますけど、そういう部分以外でもアーティストとしていろいろと次のステップに行くために準備をしていた年だったので。まだ読者のみなさんには言えないことが多いんですが。それで忙しかったですね。

──やるべきことがたくさんあったんですね。

Reol:ありました。今まで目を背けていた部分というか、環境作りということにおいて、Reolじゃないほうの“自分”をないがしろにしてReolをやっていたことに無理がたたってきているな、という感覚がずっとあったんです。そこを一度、ちゃんと見直して。生活の立て直しじゃないですけど、そういうことも2020年、2021年はしていました。

──自身がちゃんと地に足がついてないと、流されちゃうような?

Reol:破滅的になっちゃうんですよね、クリエイティヴに対して。あまり良くないなと思います。

──そこに気づいたのは、コロナ禍という強制的なストップ感というのも大きかったですかね。

Reol:あると思いますね。コロナがなかったら、海外のツアー先とかで普通にぶっ倒れたりしてたんじゃなかなって思います。実際、2019年の頭にツアーで中国をまわっていたとき、熱が出たままステージに立ったんです。39度とかあったんですけど、普通にライヴをやるという。結構ありえないじゃないですか(笑)。

──まさに破滅的です。

Reol:そういうことを笑い話にしているけど、それってよくないよなと思って。環境を含めて自分を省みる時間でしたね。難しい仕事だなと思うんですけどね、ReolのライヴはReolにしかできないから。私が飛ばしてしまったら、誰もできない。そういう、プレッシャーとはまた違うのかもしれないですけど、“自分がやらなければ”みたいな意識が、2019年まではちょっと病的な方向に行っちゃっていたなと思っていて。頼るところは頼って、周りに寄りかかりながらやらないと、周りの人たちがいてくれる意味もなくなってしまうなって思うきっかけになりました。

──変革への準備期間でもあった2021年を経て、2022年の活動がますます楽しみです。「まだ読者のみなさんには言えないこと」というのも気になりますし。

Reol:ありがとうございます。楽しみにしていてください。

取材・文◎吉羽さおり 撮影◎野村雄治

Real Sound(リアルサウンド)

Reol、柔軟な変化で生まれた“人と交わっていく音楽” 「先人たちがしてくれたことを自分がやっていくフェーズ」

Reol、人と交わっていく音楽

Reolが『金字塔』(2020年1月)以来のCD作品となる、ニューミニアルバム『第六感』を12月15日にリリースした。ビートやテンポ、アレンジ、そうしたサウンドを乗りこなすボーカルやラップ。どこを取っても多彩な7曲が揃っているが、インタビューでReolも話している通り、「J-POPを意識したメロディのキャッチーさ」が全体に通底している。すなわち、エクストリームかつ洗練された強みを存分に活かしながら、一方でリスナーに対してより開かれた存在として、Reolというアーティストが一段上のステージへ登った作品ということだ。新たなアレンジャーと手を組みながら自身の理想を実現していくReol、その自由でありながらも芯の通ったアティテュードを感じ取ってほしい。(編集部)

「自分のサウンドをJ-POPシーンにもっと持ち込みたい」

ーーCDでの作品リリースは約1年11カ月ぶりになりますね。

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Reol:前回のフルアルバム『金字塔』を引っ提げたツアーが、新型コロナウイルスの影響で途中で飛んでしまったんですよ。なので2020年は前作にまつわる消化不良的な部分がどうしてもあったんです。それを踏まえて、じゃあ今の自分は次にどんなものを作品として世に出したいんだろうということを結構じっくり考えて。結果、気づいたら2年近く経っていたという感じでしたね。

ーーそこで見えた今のReolさんが目指した方向性というのは?

Reol:今まで以上に開けた作品を作りたい思いが強くなったんです。“開けた”と言っても、そのニュアンスは人それぞれいろいろあるとは思うんですけど、私の場合はよりJ-POPに近いものを作るという意味合いが大きくて。自分の音楽は、割とUSとか海外の文脈を汲んだアレンジをしているとは思うんですけど、その上でしっかり日本人が反応できるメロディを意識したいなと。その中でまず「第六感」という楽曲が生まれたので、それと並ぶにふさわしい楽曲たちでミニアルバムを作りたいと思ったんですよね。

ーー2020年7月に配信リリースされた「第六感」が本作を編む上での起点になったと。

Reol:はい。「第六感」は自分が今まで作ってきたメロディ、コード進行の中でも、かなりJ-POPを意識したものになっていて。それが世の中的に結構はまってくれたところもあったので、この方向を突き詰めてみたい気持ちになったんです。

ーーReolさんが意識したJ-POP観というのは具体的にどんなものなんでしょう?

Reol:ちょっとアンニュイなコード進行であったり、どこか哀愁を感じさせるメロディですね。そういう要素は日本の演歌や歌謡曲に脈々と受け継がれてきたものだし、意識せずともみんなの心に響くものだと思うんです。そこを上手く曲に盛り込むために、今回はかなり試行錯誤しました。曲によってはサビを何パターンも考えた上で、一番いいものを選んだりして。「ミュータント」のサビは元々もう少しフックっぽいニュアンスだったんですけど、もっと歌謡曲的に歌い上げるサビにするために、6回くらい書き直しましたからね。

ーーこれまでのReolさんの楽曲もメロディの良さがひとつの武器になっていたと思うんですけど、J-POPを意識するとまた違ったアプローチが必要になってくるわけですか?

Reol:そうですね。メロディを大事にするという思いは変わらないけど、今まではもっとヒップホップ的なメロディメイクをしていたんですよ。歌い上げるよりは、割とリズム重視のサビが多かったし。だから今回はそこを得意な引き出しとして開けつつも、もう少しメロディアスにするとか、音符を少し省いてみるとか、そういったことを意識的にやったんですよね。とはいえ、それぞれの曲の歌詞の量を考えると、音符の数もそれなりに多いんですけど(笑)。

ーー本作を聴くと、確かにこれまで以上にポップさ、キャッチーさを感じさせる楽曲ばかりだと思います。でも、同時にReolさんならではのエッジの立ったサウンドアプローチもちゃんと更新されているわけで。そのバランスが面白いですよね。

Reol:J-POPシーンのチャートを眺めてみても、私みたいなサウンドをやっている人はあまりいないので、そこの第一人者になりたい感覚がずっとあるんです。サンプリングした音にエフェクトをかけてどんどんクラッシュさせたりとか、そういうサウンドの面白さをJ-POPシーンにもっと持ち込みたいんですよね。

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「戦っている人に言葉をかけたい意識が強まってる」

ーー「第六感」で東京ゲゲゲイをフィーチャーしていたことからも、そういった狙いを感じました。アンダーグラウンドとオーバーグラウンドの垣根を取っ払っていくというか。

Reol:そうですね。私は今までアーティストとのコラボをしてこなかったんですけど、今回はMIKEY(東京ゲゲゲイを主宰するダンサー/シンガー)さんのマイノリティな部分が、私のマイノリティな部分にすごく共鳴したからこそできたコラボだと思っていて。初めてデュエットするアーティストがMIKEYさんで本当によかったなって思いました。初めて一緒に歌ったけど、まったく初めての感じがしなかったというか(笑)。

ーーReolさんにもマイノリティな感覚があるんですか?

Reol:MIKEYさんはジェンダー的な意味でのマイノリティですけど、私にもそういう感覚は少なからずあるんですよ。アーティスト活動をする上で、私はあまり性を出したくないというか。女性らしさだけじゃない部分を色濃く出してきているタイプなので、そういう部分ですごく共鳴できた感じがしたんです。あとは背が小さいとか声が幼いとかっていうコンプレックスもあって。それが自分にとっての“なめんな精神”に繋がってるんですよね。そういう意味で私は、マイノリティ側の人間だなと思って思春期を生きてきたんです。

ーーその思いが音楽を作る上でのモチベーションになっているところもある?

Reol:あると思います。ただ、一方ではチャート上位に入っているヒット曲を聴いて「いい曲だな」と思える大衆的な感覚も私にはあるんですよ。「何これ、全然わかんない」とはならないから。そういう部分のバランス感覚は無意識に持っているのかもしれないですね。だから私の曲は大衆に響かせたい思いと同時に、自分が少数派であると感じている人たちに「それでもいいんだよ」って伝えたい気持ちもあって。私と同じような人たちを、音楽を通して肯定したい気持ちはすごく強いですね。そういう感覚になってきたのは年齢的なことによる変化もあるのかもしれないですけど。

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ーー聴き手をより意識して音楽を作れるようになったということでしょうか。

Reol:昔は自分のことでいっぱいいっぱいだったから、私が戦っている姿を見てみんなも何かを頑張ってくれたらいいなと思っていたんですよ。でも、今は戦っている人に対して言葉をかけたい意識が強まってるかな。それはきっと先人たちが自分にしてくれたことを、今度は自分がやっていく番だって認識した上でのフェーズなんだと思います。私は椎名林檎さんを聴いて育ってきて、ずっと恋焦がれてきたんですけど、彼女に対して抱きしめて欲しいとは思っていなかったはずなんですよ。とにかく私の感性を突き刺してくれるところが好きだったから。でも、「ありあまる富」(椎名林檎の11thシングル表題曲)を聴いたときに、愛情を持って抱きしめられたような気がしたんです。

ーーなるほど。

Reol:だから私も、そんな体験を今度は自分の音楽でみんなにも届けられたらいいなって、いつしか思うようになったんですよね。自分本位な音楽ではなく、他人に対してもっと寄り添う音楽、言葉を紡いでいきたいなって。そういった部分が今回の作品にも少しずつ出てきているような気がします。歌詞についても、身勝手な言葉をあまり使うことがなくなったというか。今まで以上に客観視しながら、丁寧に“undo/redo”を繰り返し書いていく感じですね。私も優しい人になりたい、みたいな意識が強くなってきているのかも。

ーーそういう願いは素晴らしいことですよね。

Reol:私は割と狭く深く人付き合いをするタイプなんですけど、せっかく音楽という多くの人と交われるものを使ってエンターテインメントをしているわけだから、それを介してたくさんの人と交わりたいんですよね。そういう気持ちはどんどん強くなってきています。プライベートではまだ全然、狭く深いタイプではありますけど(笑)。

ーー本作の起点になったという「第六感」と、「Q?」「Ms.CONTROL」の3曲は、おなじみのGigaさんと作られたナンバーですね。

Reol:Gigaとは付き合いが長いんで、「これをこうして」みたいな感じでも意思の疎通がすぐできてしまうというか。もはやひとつの生命体みたいになってきた感覚がありますね(笑)。「Ms.CONTROL」なんかは、「デジタルに攻めよう」「壮大なコーラスを入れたい」「ここではオートチューンを使おう」とか私からのイメージを伝えた上で、あとはもう好きに作ってもらった感じです。

ーーアニメ『MUTEKING THE Dancing HERO』(TOKYO MXほか)の挿入歌として何かオーダーもあったんですか?

Reol:アニメの中で踊るシーンで使いたいというオーダーがあったので、「じゃあドロップを入れようか」みたいな感じでした。全体的にサクサクとスムーズに制作は進みましたね。

新たなクリエイター KOTONOHOUSE & Geekboyとの制作

ーー今回はGigaさん以外のクリエイターが2名(KOTONOHOUSE、Geekboy)参加されていますね。

Reol:『金字塔』からちょこちょこ他のトラックメイカーの方とやってきてはいたので、今回もやっぱり外の風は入れたいなと思って。私が日頃から好きで聴いている曲の中から、「この人の作る曲はいいな」と強く思った2人にお声がけさせてもらった感じです。好きな音を作る方でも自分の作品カラーにはハモらない場合も結構あるんですけど、この2人の音にはシンパシーを感じた部分が多かった。かつ、Gigaとは違った方向性の楽曲を作れるだろうなっていう確信もあったので。

ーー「白夜」はKOTONOHOUSEさんがアレンジャーとして参加しています。

Reol:ことのはくん(KOTONOHOUSE)はアイドル界隈でも活躍しているし、フューチャーベースの第一人者みたいなところがあって。かわいい音も、アンニュイな雰囲気も作れる方ですね。「白夜」は『白夜極光』(スマホアプリゲーム)のテーマソングとして書き下ろしましたけど、先方からのオーダーだった“壮大なミドルバラード”という雰囲気は意外と今までにやってこなかったタイプなので、楽しかったです。BPM90くらいで作り始めました。

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ーーテンポがゆっくりな分、メロの良さがグッと際立っていますよね。

Reol:ダンスミュージックをやっている方からすると、テンポを落とすって結構怖いことでもあるんですよ。本当にメロディが美しくないと間延びして聴こえてしまうから難しくて。なので、自分から「やっぱりこちらのメロにしてください!」って3回くらい提案し直しました。

ーーアレンジはどんなイメージで進めたんですか?

Reol:デモの段階で私がピアノを入れていたんですけど、そこにことのはくんが装飾音符をさらに足してくれた感じで。あとはゲームのテーマソングということで、ドラムをちょっと打ち込みっぽいものにした感じかな。ストリングスはことのはくんのアイデアで入れることにしましたね。結構細かくディスカッションしながら作っていきました。

ーーそして「ミュータント」「Nd60」「Boy」の3曲にはGeekboyさんが参加されています。

Reol:Geekに関しては、SF9「Now or Never」の音がめちゃめちゃよかったので、今回声をかけさせてもらいました。Geekにはまず1分くらいのトラックをもらうんですよ。でも、それは全然J-POPを意識したビートじゃないし、構成も日本人にはわかりにくいものなんですよね。なので、それを私が組み直して2分尺くらいにしたものを投げ返して、そこにまたGeekがアイデアを乗せてくれるっていう、そんな流れで基本は作っていきました。Geekはドロップのつもりだったところを私がサビにしたから、改めてドロップを足してもらうこともありましたけど、そんなに難しさはなかったです。

ーー「ミュータント」はゆったりとフロウするメロディが気持ちいいですね。

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Reol:こういうちょっとチルっぽい曲は今までやってこなかったんですよね。これはGeekの原案が超よかったんで、そこから曲調が決まった感じです。ガツガツとラップするのではなく、ちょっとポエトリーっぽくして情緒を持たせた感じですね。

ーーかと思えば「Nd60」ではガッツリ系のラップを披露されていて。

Reol:この曲はヒップホップ的な雰囲気を出しつつ、同時にGeekは韓国のアーティストの楽曲もたくさん手掛けているので、K-POPっぽさも意識して作っていった感じです。

ーーちなみにタイトルの「Nd60」というのは?

Reol:これは、なんでもくっついちゃうっていう、世界一強力なネオジム磁石の化学記号なんですよ。それで、人間にとってのネオジム磁石みたいな存在って何かなって考えたときに、私はそれが怠惰とか色欲を含む、七つの大罪だと思ったんですよね。ダメだと思っていても、どうしても惹かれてしまう。意志が弱いと負けてしまう、みたいな。そういったことをライトな感じで歌詞にして、ポップな聴き心地にしました。

「かわいい声がせっかく出るなら使っちゃえばいい」

ーー「Boy」はラブソング的なニュアンスを感じました。

Reol:どう受け取ってもらうかは聴き手の自由なんですけど、私のイメージとしては近しくなった人間との惜別みたいなものを歌った曲。それは恋愛でも友情でもいいし、親離れ子離れってことであってもいいと思います。テーマがあまり明るいものではないので、曲の雰囲気的には明るいアプローチをしようと思ってシンガロングパートを入れましたね。そこではGeekにも歌ってもらってます。そのパートに合わせて構成をいじったりもしたし、アウトロのシンセメロは何度もキャッチボールしながら音色を決めていきました。

ーーこの曲はライブで一緒に歌いたいですよね。

Reol:今はご時世的に難しいと思いますけど、数年後とかにみんなで歌えたらいいですよね。そんな未来を思いながら楽しく聴いてもらえたら。で、歌詞をよく見たら「めっちゃ別れの曲じゃん!」くらいな温度感がちょうどいいかなって(笑)。

ーー様々なタイプの全7曲。サウンドに合わせてReolさんの声色も変幻自在です。ボーカルに関して何かトライできたと感じている曲もありますか?

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Reol:「ミュータント」では違った声色を行き来して歌えたと思います。パートによって、若干ハスキーっぽい男性的なアプローチがあったり、女性的にわざとかわいい声色を出しているところがあったりするので、一人二役やっているみたいな気持ちでレコーディングしましたね。昔はかわいい声で歌うのは絶対にイヤだったから、隙あらば巻き舌にするみたいな感じだったけど(笑)、今はそこに対する恥じらいもなくなってきたような気がします。アーティスト写真にしてもそうですけど、Reolのいろんな面を見せていってもいいのかなって今は思っていますね。

ーー表情の多彩さは大きな武器になりますからね。

Reol:そうそう。かわいい声が出ないなら仕方ないけど、せっかく出るなら使っちゃえばいいのかなって。自分の声のジェンダー感をあえて出すことも、曲によってはハマるはずですからね。そこは柔軟にやっていきたいです。

ーー本作のリリースを経て、2022年に向けたビジョンも定まってきていますか?

Reol:コロナ禍の出口が少し見えてきた感じもあるので、ライブはやっぱりやりたいですよね。このアルバムの楽曲たちをもっと育てたい気持ちが強いです。それと同時に、新たな作品もコンスタントにお届けして、どんどん攻めていきたい。作品をひとつ作ると「はい、じゃあ次!」みたいな感覚になるんですよ。「1枚リリースしたから、ちょっと休んで」みたいな感じにはあまりならないタイプというか。だからもう次の楽曲を作りたいです。というかもう作ってます(笑)。

Rockin'on

生命の躍動を感じる歌

Reolの歌のすごさを言語化しようと考えてみたが、「この人の歌、踊ってる!」という表現が最もしっくりくる。緩急、静動、強弱といったニュアンスの表現、歌声に宿っている感情のグラデーションが醸し出す躍動感が、このような印象に繋がっているのだと思う。昨年配信された“第六感”も、まさしくそういう感覚を噛み締めさせてくれる。パーカッションを打ち鳴らすかのように言葉をダイナミックに響かせて、ビートを巧みに乗りこなしつつ歌う様が猛烈にかっこいい。なんと言っても《第六感、六感》というフレーズのインパクトは絶大だ。ミステリアスな音像、残響をスパッ!と一瞬断ち切って聴覚に重力変化のような衝撃を喰らわす仕掛けなどが随所に施されているトラックとReolの歌が一体となった波動が心地好くて仕方ない。既に配信されている“Q?”や“白夜”、新曲の数々も含めて、鍛え抜かれた肉体のしなやかな躍動が空間に壮大なドラマを描いているかのようなワクワクに満ちあふれている今作。高度な歌唱スキルを表現としての必然に集約しているReolの凄みに、ぜひ浸りきっていただきたい。(田中大)

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